大阪歯科大学大6回卒業生 平成26年懇親会

いつまでも元気でいられると信じて日常を過ごしている愚かなる者どもであるが、さすがに傘寿ともなると、自他ともに認めなければならない立派なる老人である。「おいくつになられましたか?」と尋ねられて、同期生の大部分を占める昭和8年生れの者は「天皇と同い年だよ」と煙に巻いて相手が「えっ!」と驚くのを見て気休めするのを唯一の楽しみにするこの頃である。にもかかわらず年に1度は懇親会と称して顔を合わせて軽い飲食で、だべるのを常としている。卒後50年であった平成20年までは第○回六歯会と称して6月に集まっていたが、すでに68名もの級友がすでに亡くなっていることもあって、出席者数が減ったこともあり、年に1回懇親会と称
して、秋の気候のよい時期のウイークデーに気軽に顔を合わせることにしている。そのようなことから今年は10月23日の木曜日に日時を決めた。昨年は大阪で集まったので、以前からの取り決めに従って、今年は兵庫県の級友のお世話になって神戸で懇親会を持つことになった。齢も齢なので体力が必要で、時間のかかるツアーなどはやめて、世話役の勧めで神戸では有名な小磯良平画伯の美術展を見学することにした。神戸生まれの小磯画伯はオーソドックスな画風の美しい女性のポートレイトで有名で、その作品に接することで心休まる画家なので、神戸市民に愛されている。現在の展示は作品を画伯の制作順に並べられていて、時代による小磯画伯の制作態度の変化がよくわかって興味深かった。小磯画伯のご遺族によって作品、蔵書とともにアトリエが神戸市に寄贈されたので、その場所に建設された「神戸市立小磯記念美術館」は、JR住吉駅から新交通六甲ライナーで7分のアイランド北口駅前にあり、訪れやすいことから多くの来館者でにぎわっている。同館では現在同時に同じ神戸生まれの木版画の大家であった川西英氏の作品展も開かれており、美術館に足を運ぶ価値のあるツアーであった。磯美術館から世話役が用意してくれたタクシーで懇親会場のホテル・オークラ神戸に向かった。神戸港の中突堤のメリケンパーク近くにあるホテル・オークラは、水際にある35階建ての高層で、すぐそばに震災メモリアルパークが設けられており、ホテル従業員によると阪神淡路大震災の時は35階では大変な揺れだったそうである。34階にある日本料理のメイフェアーには宴席が用意されていた。34階というと真下を見ると足がすくむ思いがするが、遠目には左はるかに関西空港、右には明石海峡大橋が望め、海には港に出入りする船舶が見られ、目の前には神戸空港に離着陸する飛行機を見ることができるすばらしい眺望の会場であった。懇親会と言う名目で、肩がこらず気軽に楽しもうというパーティーなので、来寶などは一切迎えずに級友たちの雑談に徹した。

参加者は元気な25名で、この齢になってもオレ、オマエで接することができる同期生の懇親会はすばらしいものであった。齢のせいであまりしつこい食べ物は好まれないので、日本料理を選んだのは成功で、一流ホテルの日本料理もなかなかのものなので、一同機嫌よく時を過ごし、来年を約して散会した。永年にわたって会をリードしてくれていた大野一郎会長が、昨年の大晦日に亡くなったので、彼に頼っていた一同呆然となったが、今年は神戸だからと兵庫県在住の大矢君、西条君佐藤莞爾君が見事なるお世話をしてくれたので、清々とした盛会となった。

平成26年初秋

(山岸信博記)