平成24年5月13日(日)午前9時55分大阪歯科大学天満橋学舎西館7階会員研修室に全員集合し、予定より早くP.G.C.1コースが始まりました。
まず、本学歯科矯正学講座松本尚之主任教授よりMTMの概略について説明がありました。全体の歯列弓を大きく変化させない、顎位を変えない、治療期間は6ヶ月を超えない、などの説明がありました。
次に飯田拓二講師より、テーマ①、残根を有する歯周組織の改善を目的とした歯冠修復前処置としての下顎左側第二小臼歯の残根の挺出について、講義とタイポドントを使用した実習が始まりました。0.9㎜のコバルトクロム線を下顎左側第一大臼歯と第一小臼歯の歯面に沿って屈曲し第二小臼歯の根面の中心で牽引できるようにしました。牽引は、エラスチックチェーンの輪が少し変形する程度のごく弱い力(10g~20g)で行わなければ後戻りするそうです。
テーマ②、ブリッジによる補綴処置を想定した、下顎第一大臼歯早期喪失のため近心傾斜した第二大臼歯のアップライトスプリングによる移動の実習を行ないました。開業医向けに0.016×0.022インチのステンレススチール角ワイヤーをヤングのプライヤーで屈曲しました。ループの作成が難しく逆方向に屈曲しないよう指示がありました。固定源が下顎右側犬歯、第一,第二小臼歯では、下顎右側第二大臼歯のアップライトに伴い犬歯、第一,第二小臼歯の圧下、第二大臼歯にも舌側傾斜が起こる可能性があり、矯正力の作用・反作用に注意を要するという説明がありました。午前中の集中した実習も終了し、プラザ14での昼食となりました。
午後の講義・実習が始まりテーマ③、ブラケットの接着の実習に入りました。歯面での位置決めが難しく、さらにブラケットの種類がわからなくなる先生もおられました。松本主任教授自ら受講生各々の作品のチェックをされました。治療を始めるにあたってのブラケットの位置決めは非常に重要であるが、位置が不正な場合は経過とともに途中で何回でも装着し直すことが成功につながるそうです。ここで、タイポドントの第二大臼歯をダンキングし第二大臼歯がアップライトされる状態を観察しました。講義では、エッジワイズ装置によるMTM症例や隣接面削除によるスペース確保症例の利点欠点などが示されました。
最後に、最近のトピックスとして乳歯の反対咬合を早期改善するムーシールドや、矯正力の反作用を減少させるインプラントアンカーなどが紹介されました。
午後4時30分、講師、受講生の協力で予定通り終了しました。一般臨床において、補綴前処置としてMTM治療を取り入れることにより、咬合や歯周組織の安定を図ることができることを再認識した1日でした。
報告者:P.G.C.委 員 疋田 陽造(大31回)
文 責:P.G.C.委員長 佐古 好正(大28回)