開講報告

平成23年度ポストグラデュエートコース 1コース

「日本の歯科医療のパラダイムシフト」 -今、日本の歯科界に求められていることは?-

   平成23年5月15日(日)、本学天満橋学舎5階臨床講義室にて本年度ポストグラデュエートコース1コースが開催された。講師は東京都開業の岩田健男先生(大学24回卒)、演題は「日本の歯科医療のパラダイムシフト」-今、日本の歯科界に求められていることは?- という全ての歯科関係者にとって興味深いものであった。そのためか受講者は本学出身者でも大12回~大57回、さらに他大学出身者に加えて歯科技工士、歯科衛生士と幅広い参加が得られた。講師の岩田先生は本学卒業後、米インディアナ大学院を卒業し、日本顎咬合学会理事長、明海大学臨床教授等を歴任し、数多くの講演、著書でも知られる高名な臨床家である。今回は本来のご専門分野である補綴臨床の枠に留まらない内容の講演であった。

   午前は戦後の日米の歯科医療の変遷の中で開業医として常に最前線に立っておられた経験から、これからの日本の歯科界に求められている歯科医療のあり方について解説された。従来のそれは歯科医師である院長一人が活躍する修復型歯科医療であったが、今後はスタッフ全員がチームで取り組む予防型歯科医療の構築が不可欠になる。これは12歳児DMFT2.0以下を成し遂げた、先進国共通の流れとなっている。それに伴い咬合病、審美病、歯周医学といった新たな分野の知識と治療も必要であるということだった。

   午後の講演は補綴臨床の長期症例と科学的論拠を多く提示された。審美補綴の臨床術式も大変解かり易く、また歯周補綴とインプラント補綴の失敗原因、治療法の選択の判定基準の解説と多岐にわたった。

   本講演を通してとかく元気がないといわれる日本の歯科界を活気づけたいという岩田先生の提言に共感し、我々が日本の歯科医療のレベルを底上げしていかなければならないという思いを強く感じた。

PGC委員 樋口 春彦(大40回)