開講報告

平成27年度ポストグラデュエートコース3コース

GPのためのプチ矯正(一般臨床での部分矯正の活用法について)

 平成27年8月2日(日)、本学天満橋学舎においてポストグラデュエートコース3コースが開催された。
 講師には、大阪市開業の相原克偉先生をお招きして行われた。演題は、「GPのためのプチな矯正 ~一般臨床での部分矯正の活用法について~」。
 相原先生は、一般開業医の立場から、最近ニーズが高まっている部分矯正の活用について、とくに前歯部の審美的改善を目的としたプチな矯正を中心に、矯正の基礎知識、診断の実際およびテクニックの要点等をわかりやすく解説された。
 1. 軽度の叢生改善:エッジワイズ装置VSマウスピース矯正
 3~3の軽度叢生を改善できるかの判断基準は、犬歯の位置とスペースが足りるかどうか。ストリッピング、抜歯あるいはフレアーアウトの判断が重要なポイントとなる。
 エッジワイズ装置では、ブラケットポジションが重要で、ワイヤーを細く軟らかいものから太く硬いものへと交換し治療を進める。結紮方法、材料も軟から硬へ。マウスピース矯正の成否は患者さんが装着するかにかかる。コンサルテーションが重要。
2. クロスバイトの改善:リンガルアーチの有効活用
 とくに混合歯列期の初期治療に有効。歯を移動させる方向のスペースを確認する。補助弾線の滑り防止にLingual buttonを活用し、弾線を活性化する方向に注意して治療を進める。マネージメント的には、歯の交換を観察し、過度のスペース不足や骨格性下顎前突など、進んだ治療が必要になりそうならすぐに矯正専門医に紹介する。
3. 傾斜歯のアップライト:エッジワイズ装置VSミニスクリュー
 傾斜歯アップライトの対処は、Self-drillingのScrew typeのインプラント矯正を薦める。植立は歯肉上から手動でほぼ非観血的に行える。欠点としては、Screwの離脱が10~ 20%程度あること、若年者は非適応などがあるので、術前のコンサルテーションを十分に行う。離脱した場合は、位置を変えて再植立も可能。
  講演は、軽妙で魅力的なトークを随所に織り込み、端的でテンポよく、かつ充実した内容の講義であったので、会場内は終始活気あふれる雰囲気であった。

報告者:P.G.C.委員 関 良太 (大39回)
文  責:P.G.C.委員長 佐古 好正(大28回)